日田原駅に着いて電車を降りると、やっぱり人はいつもより少なかった。
「心咲ちゃーん!」
遠くの方から私を呼ぶ声がしたからホームの向こうに目を向けると、仁奈ちゃんと蒼くん、春斗が大きく手を振っていた。
春斗に関しては、少し恥ずかしそうだったけど。
私もにっこり笑ってみんなに大きく手を振り返す。
「今、そっちに行くからねー!」
ホーム越しにそう叫ぶと、私は階段に向かって足を進めた。
改札口につながる階段を上がり、角を曲がって次は階段を降りる。
全ての階段を降り終わる頃には、自然と足が早足になっていた。
あと少し、あと少し。
笑顔で私を待つみんなが、視界に入る。



