いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。



………なんだろう、この気持ちは。


「非常に酷なことなのですが、松岡さんはこれから、家族や友達など親しい人の顔や名前、また今までの思い出などを少しずつですが、忘れていくことが増えるかと思われます」


ちょっと待ってよ……。


心の整理もできてないのに、そんなに簡単にスラスラと怖いことを言わないで。


だって、信じられないよ。


私、まだ中学3年生だよ?


なのに、お母さんやお父さん、お姉ちゃんの顔を忘れちゃうの?


今まで作り上げてきたたくさんの思い出や楽しい日々も、全部全部忘れちゃうの……?


「そんなの……あんまりだよ……っ」


私の頬を、一粒の涙が伝う。