◇◇◇
結局、圭くんは、そのまま帰って来なかった。
何度か鳴らしてみた携帯は、留守番電話につながるだけ。
圭くんの声を聞くことができないまま、朝を迎えた。
リビングでくるまっていた毛布を片付け、顔を洗う。
鏡に映った自分は、ひどい顔色だった。
夕べ作った料理は、ラップを掛けてテーブルに並べられ、誰にも手をつけてもらえないままそこにあった。
圭くんの大事な話は、私にとって良い話。
無理にそう思ってみたけれど、よくないことが起こりそうで怖かった。
でもきっと大丈夫。
圭くんが病院にいることと、今回の大事な話には、何の関係もないことだから。
私は、圭くんの帰りを待てばいいだけ。
帰って来れば、仕切り直しで大事な話ができる。
なんとか、そう自分に言い聞かせた。



