こっちを向いてよ、ダーリン!


そう言って先生が車を停めたのは、圭くんの住むマンションの前だった。


「先生、ここ違うんです」

「え? でも、住所はここになってたぞ?」

「そうなんですけど……」


モゴモゴと口籠る。


どうしよう。
先生に、ここからまた茜の部屋まで送ってもらうなんて、悪くてできない。

……降りた方がいいよね。



「あの、やっぱりここでいいです」

「いや、どこか別のところだって言うなら、そこまで送るぞ?」

「いえっ、大丈夫ですから」


カバンを抱え、助手席のドアを開いた。