バスルームの熱気のせいだけではないだろう。
沙羅の顔が紅潮しているのを、俺は見逃さなかった。

泡をたっぷり含んだスポンジを奪い取り、沙羅の背筋をそっと撫で上げる。
それだけだって敏感に反応する沙羅だ。

空いている左手を前へ滑り込ませ、その膨らみ付近に触れただけだというのに、沙羅の口から吐息が漏れた。


「……ちょっと、圭くんってば、ちゃんと洗う気なんてないでしょ」


当たり前だ。
だが、素直に認める俺ではない。


「いや、沙羅が勝手に反応してるだけじゃないか」


意地悪く告げると、唇を尖らせて不満顔を浮かべた。