私たちの関係性が何となく読めたのか、亜紀さんは先生に向かって「ご愁傷様」といたずらっぽい顔で耳打ちをすると、仏頂面の先生は「ほっといてくださいよ」と手で払った。


「どうぞごゆっくり」


亜紀さんが立ち去ると、先生は椅子にドーンと背中を預けて腕組みをした。


「俺もバカだよな。さっさと沙羅ちゃんとヤッちまえばよかったよ」

「ふざけるな」

「イテッ」


圭くんの握り拳が先生の頭を直撃。
思わずクスッと笑うと、先生は「沙羅ちゃんまで笑うことないだろ」と拗ねたように唇を尖らせた。


「ごめんなさい。先生には感謝してます」


慌てて頭を下げる。
圭くんの元へ走るきっかけをくれたのは先生だから。