これは、デジャビュなんかじゃない。


「忘れ物だ」


陽だまりのテーブルに置かれたのは、先生に取り上げられた私の携帯だった。


「先生が取り上げたんじゃないですか」


あの時と同じように言って、それを素早く奪還した。
違うのは、先生を前にして、隣には圭くんがいること。


「お待たせ」


亜紀さんがコーヒーを3つテーブルに並べた。


「久しぶりよね、伊沢くん」

「はい、ご無沙汰してました」

「それにしても、なんだか不思議な取り合わせね」