笑って聞き流すと、「冗談じゃないんだけど」なんて、急に真顔になるから、どうしたらいいのか分からなくなる。
あまりにも真っ直ぐな眼差しで見つめるから、俯くしかなかった。
「さて、冷めないうちに食べよう」
空気を一変させる先生の言葉に救われた。
顔を上げると、いつものにこやかな表情に戻っていてホッとした。
「私、ちゃんとしたフレンチって初めてなんです」
「圭とは?」
「まさか。だって、こういうところって恋人とかと来るものでしょう?」
「それじゃ、俺たちもそんなところか」
「あっ……」
自分の言葉に首を絞められるとは。



