「どうして私が行かなきゃならないの? 茜が行けばいいじゃない」


茜に背中を押される形で無理矢理部屋を出されると、今度はズルズルと引きずられて歩いた。


「私が行ったって意味ないの。バイトだって休みなんでしょう?」


休みだからこそ、引越しの準備をしたいのに。

茜の力も相当なものだ。
抵抗して踏ん張っている私の足もなんのその。
涼しい顔をして、とうとう私を車のそばまで連れてきた。


「よっ、おはよ」


運転席から能天気な顔で降りてきた先生は、ご褒美のつもりなのか茜に缶コーヒーを手渡すと、私の腕を取った。


「ちょっ、ちょっと!」