こっちを向いてよ、ダーリン!


「それじゃ、またな、沙羅ちゃん」

「ありがとうございました」


営業スマイルで見送り、カウンター席を片付けた。



「ところで沙羅ちゃん、いつ頃ここへ越してくる?」


コーヒー豆を挽きながら聞くマスターの元へ、亜紀さんも近づいて「掃除しておかないとね」と笑う。


「もうすぐ母の3回忌なので、それが済んでからにしょうかと思うんですが」


法事のような特別なことはできないけれど、それを区切りにして、圭くんと過ごしたあの家から完全に荷物を引き上げよう。


「いつなの?」

「2週間後です」

「引越しのときは遠慮なく言ってね? お手伝いするから」