こっちを向いてよ、ダーリン!


それなのに、怪我人の真奈美さんの心配じゃなく、真っ先に圭くんのことが浮かんだ自分が、なんだかイヤだった。

真奈美さんは、何も悪いことなんてしていないのに。


「今度、気分転換にどこかに行くか」

「誰がですか?」

「誰って、沙羅ちゃんを目の前にして言ってるんだから、俺と沙羅ちゃんに決まってるだろ」

「何で先生と気分転換しなくちゃならないんですか?」


私のセリフに先生は大きな溜息を吐くと、すぐ後ろにいたマスターが、笑いを堪え切れずに噴き出した。


「沙羅ちゃん、たまにはいいんじゃないか? 健二くんに付き合ってやってくれよ」

「マスター、憐れみの目で俺を見ないでもらえますか?」

「憐れんでるつもりはないさ。若い者同士、仲良くやるのはいいことだからね」