こっちを向いてよ、ダーリン!


「沙羅ちゃーん、健二くんのお会計をお願い」


店から亜紀さんに呼ばれて、エプロンを着けて出る。
レジの前に立つと、「もうすぐ退院だってな」と先生は唐突に告げた。


「退院?」

「例の彼女だ」

「……そうですか。良かった」


素直な感想だった。

退院さえすれば、圭くんが大変な思いをしなくて済む。
病院と会社の行き来がなくなれば、体調を崩すこともなくなるだろうから。


「ライバル相手に優しい心持ちだな」


言われて、ほんの少し胸が痛かった。
入院をして一番大変な思いをしたのは、真奈美さんに違いない。