「それで何度目?」


大きな欠伸を一つした私に、茜は呆れ顔だった。


「何回目かなんて、数えてなんかいないわよ」


眠い目をこすりながら、大学の構内を歩く。
今すぐ眠れと言われれば、歩きながらでも出来そうなほどだった。


「そんなに眠いなら休んじゃえばよかったのに」

「サボれない授業だってことは、茜も分かってるでしょう?」

「まぁ、そうだけどさ」


出欠に厳しいことで有名な教授の講義。
代返がバレたら、即刻単位を取り消されてしまうのだから。

熱が下がったことを確認したあと、眠っている圭くんを残して茜の部屋に戻った私は、そのまま大学へ直行していたのだった。