こっちを向いてよ、ダーリン!


あの病院に行くということは、少なからず、圭くんに近づくということ。
真奈美さんに会ってしまう確率が上がるということ。

できることなら、それは避けたかったから。


「健二くんが困ってたら可哀相だし、沙羅ちゃん、悪いけどよろしくね」


躊躇う私の手に封筒が手渡された。

二人は私の事情を知るはずもなく、マスターが仕事として行ってほしいと言ってくれている以上、断る理由がない。


「……はい、分かりました」


二人に見送られて店を出た。


広い病院だから大丈夫。
きっと、二人に会うことなんてない。
そう言い聞かせながら、病院の自動ドアをくぐり抜ける。

土曜日の午後でも診察はしているらしい。
受付も会計も、全ての窓口が開いていた。