「……何事?」


頬杖をついて机にもたれていた身体を起こして、茜が不思議そうに目を瞬かせる。

何事かと聞きたいのは、私の方だ。
首を捻り分からないことをアピール。


「とりあえず行ってみるね」


授業が残っている茜に別れを告げ、学生課へと急いだ。


「あの、すみません、校内放送で呼ばれた森山ですけど……」


窓口の女性に声を掛ける。
すると、その女性は「あ、森山さんね。あちら……」と言って、事務課のもう一方の入口の方を右手で指示した。

その手が向けられた方に視線を移すと、にこやかな笑みを浮かべた先生が「よっ!」と軽く手を上げていた。