「ここは試験に出すから、よく復習しておくように」


ホワイトボードに波線を引いて、教授が何度も念押ししたところで、広い講堂内に終業のチャイムが鳴り響いた。


「沙羅は、これで今日は終わり?」


頷くと、隣で「いいなぁ」と大きく伸びをする茜。


「あと1限でしょ? 頑張ってよ」


机いっぱいに広げた分厚い参考書籍を片付ける気もないのか、茜は頬杖をついて「いいな」を連呼するばかりだった。

それを横目で見ながら、カバンに荷物を詰め込んでいると、校内放送でアナウンスが流れ始めた。

何の気なしに聞いていると


「経営学部の森山沙羅さん、経営学部の森山沙羅さん、至急学生課までお越しください」


突然呼ばれた自分の名前に、茜と顔を見合わせた。