けれど、先生からの電話があって、かえって良かったのかもしれない。
きっかけがなければ、あの重い空気から逃れられそうになかったから。
「それじゃ、私、行くね」
今度こそ、バッグを掴んで立ち上がった。
「私の心配なら、しなくて大丈夫。私、もう子供じゃないから」
いつまでも、圭くんの保護下にいなくても平気なくらい、大人になったつもりだから。
こんな私の保護者なんて役目、いつまでも背負わせておくわけにはいかない。
「圭くん、今までありがとう」
しんみりしてしまいそうな最後の言葉は、思い切り明るく、笑顔で言えた。
圭くんの手も、もう私を追いかけたりはしなかった。



