出て行きたくない。
そう言っているように、根が張り出してしまって重くなったお尻を何とか持ち上げて、立ち上がる。
「迷惑だとは思ったんだけど、軽い夜食作っておいたの。看護って体力使うから――」
突然手を掴まれて、その先の言葉は沈黙に消された。
薄明かりの中、手も視線も圭くんに囚われる。
出来ることなら、私たちを取り巻くことは一切抜きにして、この状態のまま時間が止まってしまえばいいのに。
圭くんに強く握られた手が、もう二度と離れないように――……。
一方通行の願いで胸がいっぱいになる。
動揺する私を見つめる、圭くんの眼差しの意図するところが分からなくて、鼓動ばかりが暴走した。
「……圭、くん?」



