「さてと、着いたけれど、沙羅ちゃんはどうする?」
――嘘。
どうしてここに?
先生が車を停めたのは、ついさっき飛び出してきた病院の駐車場だった。
「俺、ここの医師なんだ」
「え? だって学校は?」
「あっちは出向っていうのかな。毎日じゃないからね。所属はここ」
そうなんだ。
てっきり、学校の医務室が本拠地だと思ってい私。
先生は身体をよじって後部座席に手を伸ばすと、黒い大きなカバンを取って、膝の上に載せた。
「ほら、降りるぞ」
助手席で固まったままの私に構わず、さっさと運転席から降りた先生は、助手席側へ回り込んで、窓をコンコンと叩いた。



