こっちを向いてよ、ダーリン!


時々狂う音程。
悲しいはずだったのに、調子外れの鼻歌が、つい笑いを誘う。

クスクスと笑うと、先生は鼻歌を止めて私を見た。


「なんなんだよ。泣いたり笑ったり、本当に忙しいやつだな」

「だって、先生の鼻歌があんまりヒドイから」

「お前なぁ、普通、そういうことはハッキリと言わないものだぞ」


ギロリと睨まれたけれど、言い方に込められた優しさのせいで、全然迫力がない。
先生は、更に笑う私の頬を軽く抓った。


「ちょっと、痛いじゃないですか」

「心の傷と身体の傷、どっちが痛いと思ってんだ」

「え? あ……」


……そうだよね。
その上、先生とは知り合って間もないのに。

ちょっと調子に乗り過ぎだ。