とにかく、これを使って、隙間にあった金具を、ピンで開けたみたい。

器用だな……

私と音遠くんは壁に体重をかけ、ぐぐぐっと押す。

「いよっと……ぉ?」


ガコン


あ!


「あった!」

ひっくり返した壁の向こう側に、絵があった。

なるほど。無くなったんじゃなく、壁が回っただけだったんだ。

「え、てことは、犯人は……」

犯人は分かりやすくて、私が探偵役やるまでも無かった。

こんな仕掛け作れるのは、あの人だけだけど……

「蝶羽ちゃん。探偵はどんな結末になろうと、真実を伝えなきゃいけないものなんだよ?さ、早くみんなの所に行って、推理を披露しよう」

音遠くん……

今日の音遠くん、なんか、違う。

いや、数回しか会ったことないのにそう決めつけるのもどうかと思うけど、今日は全然初めて会った時みたいな優しい笑顔を向けてくれない。

何かあったのかな……

「蝶羽ちゃん?」

「……今行く」

音遠くんの後ろを付いていくように、私は皆の所へ向かった。