「なぁ、佐月くん、まだ起きとる?」

藜、論土、木花が帰ったあと、四人は明日に備えて早目に寝ることにした。

元々男子二人部屋だから、寝具は二段ベッドのみ。

上の段を日和と火影、下の段を佐月と水晶が使うことになった。

たった一日のうちに色々ありすぎて佐月は眠れず、真上を睨みつけるようにして寝る努力をしていた時に、水晶が声をかけたのだった。

「何……水晶?」

眼鏡を外した端麗な顔で、水晶ははにかむように笑った。

「初日からこんなん巻き込んで、かんにんな」

「いや、確かに入学式直後から授業始まるのも、特殊クラス入れられたのも、こんな事件巻き込まれたのもびっくりしたけど……」

今日一日の出来事を振り返る。

入学式が終わった後、普通クラスへ行こうとしていたところを日和に引きずられたことから始まり、

連れてこられたクラスは皆特殊能力持ちで、

能力調整の授業を行って、覚醒能力を開花させ、

怪しい人にその能力を悪用されそうになって逃げて……

想像していた高校生活とはかけ離れすぎている。けど。