だから、もはや秋野修二の心が、遠山恵美子から安華江に完全に引っ越ししちまった時点で、修二を操る術が恵美子には無いんだよ。」

「…包み隠さず、全部語るって言ってた癖に。」

「そこまで言う必要は無いかなって、思ってたんだよ!」

「あっ、でも後問題があるとすれば、もし秋野修二の双子のお兄さん、秋野修一が意識を回復した時ね。

…もめないかしら?」

春子が、両手で空になりたてのホットミルクのカップを抱え込んで、ふうっと熱いため息をついた。

それを受けて、ヴァンパイア礼士は、肩をすぼめ、冷めた表情でふっと吐息を吐いた。

「知らねえよ、そんな事まで。

俺様が今回あの二人の仲を取り持ってやったのは、俺様の考えた芸術をあの女に汚されたく無かったからだ!

あくまで、その結果だ。

後の事なんて、どうでも…」




「?どうしたの、ヴァンパイア礼…」

「それって、よくよく考えりゃ、今の礼士と俺様、そして乙女座の関係に似てるな。

まあでも、このままいけば、礼士より俺様が先に乙女座の事をモノに出来そうだけれどな。

だって、アイツは知らないからなあ。乙女座の肌が、あんなに綺麗で、スベスベしてるって事を。」

そう言いながら、ニヤニヤしながらヴァンパイア礼士は、春子の目の前で、先程春子にして見せた行為の再現する様な手の動きをして見せた。