「ええーっ!じゃ、じゃあ、私が体張って二人の為にやった事は…

しかも最後はアンタにあんな事されて…

…かっ、身体触られ損じゃん、そんなの!」

「ばっか!声でけーよ、お前!

周りから変な目で見られるじゃねーか!」

あの後、遠山恵美子を上手くまいた二人は、真っ直ぐ帰宅せずに、帰り道でファミレスに寄り道していた。

と言うのも春子が、遠山恵美子を土壇場で裏切った秋野修二、そして安華江に対して、恵美子が更なる嫌がらせを仕掛けてくるんじゃないかと危惧した為、ヴァンパイア礼士が、まだ春子に言ってなかった真実を話す為であった。

「…だからあの時、お前が秋野修二にあのメモ書きを渡し終えた時点で、お前の役目が終わりだって言ったんだ。

今言った様に、遠山恵美子と秋野修二の間では、すでにある程度の『手打ち』が行われていたんだ。

上手く秋野修二が安華江をふる事が出来ていれば、遠山恵美子はそのまま秋野修二のもとを去っていく、万一秋野修二が遠山恵美子を裏切った場合は、恵美子が修二からある程度の金をもらって去っていくってね。

何故なら、秋野修二がその頃には安華江を本気で好きになりかけているだけでは無く、遠山恵美子自身、実はもうすでにキープしている別の金づるがいたんだ。

それに、裏切った報復ったって、元々秋野修二はただの金持ちのボンボンでは無く、遠山恵美子とその仲間をボコボコにしちまった、金と力の両方を持ち合わせたワルだ。

下手な事をすれば、恵美子自身が危なくなる。