「…あ、あの~。

あ、秋野先輩?

は、初めまして。私、一年一組の『松本春菜』って言います。

…ずっと、先輩の事が好きでした。

よろしければ、私とお付き合いして下さい!」

「えっ!?い、いや、あの…」

終業式も終わり、日が暮れようかとしていた、私立稲月高校の屋上にて。

松本春菜と名乗る一人の少女が、一人屋上でたそがれる、スポーツ刈りの秋野修二に愛の告白をしていた。

髪は腰までかかるぐらい長く、オレンジ色の縁ありメガネをかけたこの少女。

実は、ヴァンパイア礼士に言われて引き受けた、春子の変装であった。

それにしても、何故春子は秋野修二に告白をしているのか?

それには、秋野修二が安華江をフラない様にする為の、『1%』の可能性をかけた大勝負の為であった。

-いいか乙女座。『1%』の可能性とは何なのか、教えてやる。

それは、秋野修二が、安華江の事を本気で好きになりかけている、と言う事だ。

遠山恵美子にしては、その辺りは今回の計画に対しての、唯一の誤算だっただろう。

あの時拾ったメモ書き、まさか捨ててないよな乙女座。

今こそ、それが効力を発揮する瞬間だ。

そして、そのメモ書きを上手く使いこなすには、俺様では駄目。

お前にしか出来ない事だ。

…愛する男に対する、本当の真心を知っているお前にしかな。

頼んだぜ、クリスマス・イヴに安華江が秋野修二に対して企画している、最高のクリスマスイベント。

それを成功させる為の布石を、お前が成し遂げるんだ!-