「さらに言えば、何故そのヒントとされた部分がマジックペンやボールペンでは駄目だったのでしょう?

…答は、鉛筆書きなら、消しゴムで消す事が出来るからです。

そして、あの『→←↑↓〓∈∋⊆』自体に意味は無い…と言うか、無理やり意味を持たせていたんです。

『確かに存在する』と言う名の意味を。」

「…ますます訳が分からないよ、どう言う事、ハルちゃん?」

「例えば、あのヒントの部分を初めて見た時、礼士先輩、どう思いました?」

「どうって…そりゃあ、一体、どう言う意味なんだろうって…」

「ですよね?じゃあ、あのヒントの部分が仮に、『あいうえお』なら?」

「そりゃあ、同じだよ、一体、どう言う意味なんだろうって…」

「では、今言った『あいうえお』自体に、意味が有ると思いますか?」

「うーん。か、勘弁してくれないかなあ、ハルちゃん。

意地悪しないで、もっと簡潔に言ってくれないかな(>_<)」

「…つまり、そこに有る物を消すのは不可能でも、無い物を『有る様に見せかけて』それを消すのは可能だと言う事です。

何故なら、『最初から存在しない』からです。

パソコンのデーター内の挑戦状には、ヒントが書かれていませんから、ヒント自体の存在を意味付けする物は有りません。

しかし、何でもいいんです。そこにとりあえず何かを書けば、これがヒントなんだと、ヒント自体の存在を見た人が認めてしまいます。

ただ、鉛筆書きなので、消しゴムで消せばその存在は、消えてなくなります。」