マジックショーの為の衣装を返し終え、礼士と共に奇術同好会の部屋に入った春子は、今回のマジックショーのトリックを語り出した。

「どういう意味、って?

うふふ♪実は~何と、今回のマジックの私の真の助手は、礼士先輩では無く、あの憎っくき中川猛なのでありましたぁ~っ!

…あんみつ代は、甘党のアイツにまるテーブル持ってきてもらう時に支払う予定です!」

「な、何だってえ~っ!

でっ、でも中川君は、ハルちゃんと言い争いをしていた張本人!

敵じゃないか!?」

「…今回のトランプマジックのトリック、そして遠山恵美子のトリック。この二つに共通する答えは…

『嘘』です。」

「?」

「一昨日の晩、私、礼士先輩に電話した時の事、覚えていらっしゃいますか?」

「え…あ、ああ、ヴァンパイアからの挑戦状の話?

あれだろ?『ヒントである、

→←↑↓〓∈∋⊆

の部分が、パソコン内でのデーター上では、その部分が、何も書かれていない、全くの空白じゃないですか?』ってやつだろ?」

「はい。でも、それが今回のトリックのテーマ、『嘘』に、つながっていたんです。

…何故、最終的にプリントアウトされた挑戦状には、空白の部分があの不可思議なヒントで埋められていたのでしょう。

何故、鉛筆書きだったのでしょう?」

「うーん、何でだろう?」

礼士が、突然の春子からの質問に答えられないでいると、春子は続けてこう言った。