「ほ、本当だ!ハートのAだけが、無い!」

「でっ、でも砂入れて、ハンカチかぶせただけでしょ?」

「お、おい松永!こ、この箱少し改めさせてもらうぞ!

もう、タネなんてこの怪しげな箱かハンカチしか、考えられ無いじゃねーか!」

「皆さーん。これでめでたく、奇術同好会は、来年も継続させて頂く事になりました。

本日はお忙しい中、奇術同好会のマジックショーにお立ち会い頂きまして、誠にありがとうございました。

では、私は早速この恥ずかしい衣装を演劇部に返して参りますので。

皆さん、よいお年を!」

教室で大慌てする中川猛含む観客達を置いて、さっさと教室を出た春子。

そして演劇部の部室に急ぐ春子の後を、必死に礼士が追いかけて来た。

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよハルちゃん!」

「やあん、ご、ごめんなさ~い、礼士先輩っ!

…だ、だってこの衣装、すごく恥ずかしかったから。

置いてけぼりにするつもりは…

それに、みんなの前で堂々とハートのAを消したから、ボディチェックは、要らないでしょ?」

「そ、そんな事は分かってる!

ど、どうやって消したの?

み、みんなとうとうボックス壊してまで改めていたけれど、結局解らなくって…

ハンカチにまで疑いがかかって、興奮したみんながつかみ合ってた。

中川君も、ボロボロになって帰ってきたハンカチに、真っ青になってたよ。

結構、お気に入りのハンカチだったらしく…


「そ、そこまでは計算外だったわ…(-"-;)

はあ、出費が、あんみつ代だけじゃ、済まなくなりそう。」

「えっ?そ、それってどういう意味!?」