とある日のお昼時の、私立稲月高校奇術同好会にて。

机の前のパソコンに黙々と向き合い、作業する礼士。

そしてその真横には、べったり礼士にくっついて座り、いつもにも増して騒がしい春子がいた。

「…まあ、むきになってあんな約束した私も悪かったんですけど~!

でも、あの憎ったらしい中川猛って言うのが余りにも私を挑発してくるから…

あっ、そうだ忘れない内にこれを…

…でもね、お前らのやってるマジックなんて、絶対見るに値しない物だってけなすもんだから…

あっ、お醤油渡すの忘れてた、はい!

…ええと、どこまで言ったかしら…

…そうそう、とにかくこれは私だけじゃなくて、礼士先輩まで侮辱してる事になってですねえ…

…えへへ、それ作る為に、今日は早起きしてみました~って、いや、そうじゃなくて、このままだとこの同好会がですねえ…

うう、うぇ~ん!

この、この私と先輩の愛の巣が…

って、やーん愛の巣だなんて、照れちゃいますよオ、先輩!

…とにかく!その中川猛ってのが…」

「忙しい奴だな、お前も!

悩み聞いてほしいのか、弁当の感想聞きたいのかどっちなんだ!?

…あっ、でもめちゃめちゃ美味いじゃないか、やるなあ乙女座(ヴァルゴ)。

流石、乙女座は俺の嫁なだけはある!」

「や~ん、めちゃめちゃ美味しいだなんて、俺の嫁だなんて、私、照れちゃう…

…って、乙女座!?

もしかして、今の先輩!?」