「…………」



すぐ近くに先輩がいて、温もりを感じて、幸せなんだけど。



あたしなんかが先輩の彼女になっていいの?



先輩はあたしのことが好きってこと? まさか!



確かにあたしは先輩が好き、なのかもしれない。



でも彼女になって、って?


そんなこと考えたことなかった。



「…………っ!」



あたしは自分の体が震えていることに気がついた。



先輩と同じベッドの上で、彼と気持ちを通い合わせて。



もちろんドキドキして、先輩にもっと近づきたい、触れたい、という気持ちはあるんだけど。



『あたしが抵抗すればよかっただけなのに、何でかできなくて。されるがままになっちゃった自分が悔しくて……』



いつか、そう言って先輩の前で大泣きしたことを思い出す。



『お前の弱いとこも、今みたいな可愛いとこも、もっと見せて』



同時に、この前の祭の後。


先輩にぎゅっと抱きしめてもらった時の、全てが満たされていくような幸せな気持ちも鮮明に思い出す。



だけど――



先輩の気持ち、あたしの気持ち、どちらもはっきりしていないのに、


今のまま、流されるままに


キスをしてしまっていいのだろうか。



よく分からないんだけど、


何か良くない方向に全てが変わってしまいそうで、怖い――。