──逡side──



愛稀と別れてから
何か心が満足しない。


愛稀は花鈴に
あんなことをしたのに...


それでも好きでいてしまう
俺は兄失格なのか?



「お兄ちゃん...
あの日以来元気ないみたいだけど
何かあったの...?」



「なんでもねぇよ。」



笑って安心させようとする。




「嘘でしょ!
お兄ちゃん悲しそうだよ!
花鈴なんかした...?」



「今は一人にしてくれ。」



初めて花鈴に冷たく言ってしまった。


花鈴は泣きそうな顔をして
トボトボとどこかへ
歩いていってしまった。



言った後に後悔する。
何をしてんだ俺は...。