「優也が美沙ちゃんを好きにならないようにする為にはって考えた。そして思い浮かんだのは、いつまでも淡い期待を抱かせておくことだった」
裏の顔を知っておきながら、美沙ちゃんのことを何とも思ってないくせに付き合ってるのを知っておきながら、黙っておく。
バカにして見下して楽しむ優也の仲間のように振る舞う。
まるで、今の優也を受け入れてるかのように思わせる。
共犯のように、錯覚させる。
「……本気で言ってる?」
「本気よ?いつまでも美沙ちゃんは " 私の代わり " ってことを優也の頭に刷り込んでおくの」
眉を下げ、瞳を潤ませる。
優也お得意の、可哀想な僕を演じ始める。
……いや、もしかしたら今日は演技なんかじゃないかもね。
「でもさっちゃんは本気で佐和ちゃんのことーー」
「敵を欺くには、まずは味方から、って言うでしょ?」
そうね、美沙ちゃんはきっと本気で私のことが嫌い。
でもね、それで良いの。


