そう言うと伏し目がちにふっとその表情を緩める。
私は妹なのに、そんなこと一度も思ったことがない。
そんなお姉ちゃん、見たことがない。
だから優也くんのその言葉は、いまいちピンとこない。
でも当たり前かもしれない。
私は最初から見ようとすらしていなかったのだから。
「優也はもしかしたら味方なのかもしれない。けど、幸せにはしてくれない」
「お姉ちゃん……」
「だってあの人は、今の不幸な私が好きなんだもん」
静かなその言葉は、泣いてるようだった。
お姉ちゃんは泣いてなんかないのに、そう思った。
「だから、今の私を好きな人なんて、いらないの」
ーー私を好きな優也なんて興味がない。
さっきの優也くんとお姉ちゃんの会話をぼんやりと思い出す。
そうか、あれはそういう意味だったんだ。


