「思い通りに、言いなりにならなきゃ、私なんていらないのよ。いつもニコニコしてなきゃ…っ、あんたみたいに感情のままに私は生きられない…っ!!」
お姉ちゃんは窓を閉めて、そっとガラスに触れてから、その先にある美術室を睨みつけるように見つめた。
「この世界に私の味方なんて、ひとりもいない」
「優也くんは……っ、お姉ちゃんの味方じゃん」
ずっとお姉ちゃんを見てた、想ってた。
それは、私が一番よく知ってる。
お姉ちゃんだって、ずっと気付いてたんでしょ?
だったら、どうして。
「優也は、違う」
「違うって、何が…!」
私はどうやったって好きになってなんかもらえなくて、それどころか好きっていう気持ちさえバカにされてた。
二人で私は愚かだと、笑ってたんでしょ?
私の知らない優也くんを、お姉ちゃんはきっと沢山知ってるんでしょ?
「私のどこが好き?って聞いたら、不幸そうで劣等感丸出しで、どうしようもなく惨めなところ。そう言うのよ?」


