[短編]初恋を終わらせる日。





「男なんてバカばっかり。だから陽一くんはどうなのかなって思ってね」




お姉ちゃんが周りを誰も信じてないのは分かった。

だけど、どうしてそれが天谷へと繋がっていくの。




「あいつも見た目だけが重要なら、私でいいじゃない?てか、女らしさでは私の方が美沙ちゃんに勝ってるし」




バカにしたような口調で話すお姉ちゃんに堪らなくイライラする。

お姉ちゃんに、そんなこと言う権利も、思う権利すらない。


だって天谷は、私たちが簡単に傷付けていいような人じゃない。

真っ直ぐで純粋で、誰よりも優しくて……っ。





「だからーー試してあげようと思って」




お姉ちゃんに近付いて、その冷めきった瞳が私を捉えるのと同時に私は右手を掲げた。

そして、何のためらいもなく彼女の頬めがけて振り下ろした。