「弁当ありがとな、うまかった」

「うん!私こそ、食べてくれてありがとう」

「……」

「……」


長い沈黙のあと、お互いの顔がカァ~っと赤くなり、私たちはほぼ同じタイミングで俯いた。


「…優衣」


しばらく照れていたらふいに名前を呼ばれて顔をあげる。

雲の隙間から夕陽が差し込み、ふたつの影がひとつになった。


「…また、食べたい」

「!」


抱き寄せたまま、隼人がさりげなく呟く。

私はそんな隼人の胸に顔を近づけると、小さくうなずいたんだ。


「…うん」






中学2年の7月

隼人の誕生日。


この日は私にとっても忘れられない…特別な1日となった。