『自分のことなんか曖昧なままでいいんじゃねえか。そんなヤツ、そこらへんにいっぱいいる。お前は今まで前の見える道を歩いてきたから怖いかもしれねぇけど、前の見えない道だっていいもんだぞ。どこに転がったって、それが底辺だって誰もなんも言わねえ。
親に隠れて、鬱憤晴らすんじゃなくて、その親に当てつけるようにでっかくやってやれ。
逆らってやれ。その親になんと言われようと、お前の意思を貫けよ。
───茜、お前はどうしたい』
あぁ、大丈夫だなって思った。
自分が見つからねぇとか、これからの事が何にもわからなくて怖えとか、そんなこと考える必要なかったじゃねぇか。
自分の居場所がわかんなくなっても、自分が曖昧になっても、どんな人生に転がったとしても、近くにこいつがいれば多分俺はやっていける。
『俺は───もう、あんな親に従って生きていきたくはねえ。俺を、族に、白龍に入れてくれ』
そう言った俺に、美影はゆるりと口角を上げて。
『上等』
そう言った。
────それから俺は族の奴らに会いに行って。
族の一員になった。
もう従わないって、あいつに────親父に見せつけるために、やれること。
そう考えて出てきた答えが、幼稚だけど髪を染めるってことだった。
俺はその日のうちに髪を金に染めて。
制服を着崩して。
──学校に登校した。



