『……何の用だよ』
無表情でそいつを見ると、そいつもまた無表情のまま口を開いた。
『お前だろ、クロって』
『はっ、知らねぇよ』
『お前、白龍入らねぇか』
『………は?』
──────それが、美影だった。
俺によく構ってくるくせに、俺の素性なんか別にどうでもいいという顔をする変な奴。
誘われた暴走族────“白龍”の総長やってるとは思えねぇくらい呑気な奴。
魚介類がただひたすらに大好きな変わった奴。
暴走族、その存在に俺の心が揺れたのも確かだった。
でも、そっちの道に行った後俺はどうすればいいんだ。
今まで敷かれたレールの上を、前の見えた道を、ただ無情で歩いてきた分、突然横道に逸れるのが怖え。
でもこのまま、お父さんの───────親父の言いなりになって過ごしていくのかと思うとそれも虫酸が走るほど嫌だった。
美影の誘いに、毎回『入らねぇよ』と言ってみるものの、迷ってた。
でも気づいたら、俺は初めて友達と言えるくらいに美影と仲良くなってた。



