──────でもそんな、曖昧でからっぽな俺に、初めてやけに絡んでくるやつが現れた。
その日は、お父さんにテストの点のことで文句をつけられてむしゃくしゃしてて。
角砂糖を口に入れながら、人をただ無心で殴ってた。
誰もストップをかけてくれるやつがいねぇから、俺は怒りに任せて殴る。
死ぬんじゃねぇかなこいつ、そう思った時。
────『おい』
横から声がかかった。
ふ、とそっちに目を向けると、中性的な整った顔がそこにあって我に返る。
……あ。
それによって、口の中の角砂糖がなくなっていたことに気がついた。
そのことになんとなく気分が萎えて、気絶してる男の襟から手を放した。



