でもこんな弱い自分が嫌で、グイッと袖で目元を拭う。
ぐちゃぐちゃになった感情を落ち着かせるために、深く息を吸い込んだ時、後ろから砂を踏む音が聞こえて俺はとっさに振り返った。
『…お父さん』
まさか、お父さんが追いかけてきてくれるとは思ってなくて。
予想外の出来事に目を見開く。
遠くて表情は見えないけど、もしかして俺を心配して来てくれたんじゃないかと淡い期待が胸に浮かんだ。
……俺を少しでも愛してくれてるんじゃないかと、期待した。
近づいてくる足音が、俺の横で止まる。
俺はまたバカみたいな期待を心に浮かべて、バカみたいに少し喜んで。
お父さんに話しかけた。
『お父さん、俺海が好きだ。お父さんも好きっていってただろ?俺、昔何よりもお父さんと海で遊ぶのが一番好きだったんだぜ。……もう一回、昔みてぇに遊びてえなぁ…』
海を見つめたままそういった俺にお父さんの表情は見えないけど、横から、
『…茜』
という声が聞こえた。



