どこからともなくこみ上げた透明のそれが、ポタリと砂浜に落下して。
砂を小さな丸い形に、濃く染め上げた。
ここに来ると必ずと言っていいほど、小3の夏までの幸せな時間を思い出す。
でもそれと同時にお母さんが出て行った時のことも思い出す。
お母さんが出て行った小4の夏の終わり────あれからどれくらい経ったっけ。
もう2年は経ったか。
なんて考えて頭の中で数える。
…ああ、でも、まだ。
『…まだ、5ヶ月しか経ってねぇんだ』
──こんな日々が、これからも続くのか。
なんでお父さんはあんなに仕事にのめり込むようになっちゃったんだろう。
なんで笑わなくなっちゃったんだろう。
なんで俺に完璧を求めるようになったんだろう。



