ありがとう、ふんわり笑うお母さんに俺も照れたように笑った。






周りの奴らに比べたら経済的な面で我慢することは多かったけど、それでも優しくて暖かい家族がいて。

それだけで俺は幸せだった。




家は、海の側に立つ一軒家。


お父さんの始めたばかりの小さな服の店も、家の近くにあって。


よく遊びに行っては手伝っていた。


帰りは、お父さんと海で遊んで帰るのが日課で。



お父さんもお母さんも海が好きだから、週に一回は家族で海に行っていた。




──楽しくて、幸せで、何不自由ない毎日。



欲しいものも買ってやれなくてごめん、お父さんは言うけど。


そんなの全然気にしてなかった。



茜に家事とか手伝わせてばかりでごめんね、お母さんは言うけど。


俺はお母さんと沢山話せる時間だったから、むしろ嬉しかった。