気づけば、茜のお父さんを睨んでいて。
「───ふざけんなっ!!!」
大声で、怒鳴っていた。
「私のことも茜のことも、よく知らないくせに!!何も知らないくせに、知った口叩かないでよ!!真っ当な人生を歩んだ方が幸せ?両親が心配してる?
──幸せだったらこんな世界に私たちはいない!!皆はいない…!!心配してくれる両親がいたらこんな世界に私はいないっつの!!
私はあんたと比べたら茜といる日数は悔しいくらいに少ないし、生い立ちも素性もなにも知らないけど、茜の思ってることはあんたよりも理解できてるつもりだから!!親だから何!?私たちのすることに口出しすんな!!以上!!!…いこ、茜!」
恥ずかしいくらいに思いっきり怒鳴った私は言い終えると同時に、頭に血が上ったまま茜の手を引っ張ってテラスから外に走り出した。
芝生の上を走って走って、ただただ走って、気づいたら昨日遊んだ浜辺の位置から少し離れた、堤防の近くの浜辺に出ていた。
乱れた息を、整えて。
砂浜にポスンと座りこむ。
はぁー、一回ため息をついて。
海をじっと眺めてから。
───そして私はようやく我に返った。
「…あ。」
さっきまでの激しいムカつきは消えて、今度は冷や汗がダラダラと垂れそうなくらいに焦ってくる。
も、もしかして。
わたし、結構ヤバイことしちゃったんじゃない…?
頭に浮かぶのはさっき怒鳴った言葉。
横に座って何も言葉を発さない茜が、怒ってるんじゃないかと不安になる。
こんなところまで連れ出してきちゃったし。
親子の喧嘩に割って入って、自分の言いたいことだけ怒鳴り散らしてきちゃったし。
そう考えたら余計に焦ってきた。
親子の事に口出しちゃうなんて、絶対怒ってる。茜絶対怒ってるよ!
「あああ、あの、茜、ちょっとカチンときちゃってあんな…っ。ご、ごめ────」
とりあえず先に謝っとこう、そう思って横に座ってる茜の方を向いて頭を下げてそう言いかけた時。