朝っぱらから、喧嘩売られたとかかな…?




「あっ、そういえば聞きたいことがあったんだった!」




私はそのことを深くは考えず、頭からぽーんと切り離して、気になっていたことを口にした。




「白龍って、あんまり暴走してなくない?」


私の言葉に、「ああ、」とでも言うように頷いたモヤシダさんはその後なんでかしらないけど少しドヤりながら話を始めた。


「白龍はもとは暴走族じゃねえんだよ。普通、暴走族ってのは暴走してぇ奴が入ったり、真っ当に生きてる奴らに反抗したくて入ったりだろうけどさ。白龍は最初は喧嘩してぇ奴らが集まるだけの不良グループだったんだぜ。でも3代、4代あたりの総長が大のバイク好きで1、2回暴走みたいなのやったらなんかもう世間からは暴走族って認識されちゃったっつーかさ」



「へぇぇぇ…」


なるほどねぇ…。



ぺらぺらスラスラ話していくモヤシダさんの話に驚く。でも、モヤシダさんのドヤ顔が煩くって驚きが半減しちゃったのは紛れも無い事実だ。




にしてもモヤシダさんなんでそんな詳しいの。


「あ、今お前なんでそんな詳しいんだって顔しただろ?それは「それはな、実を言うと俺の一番上の兄ちゃんが6代目の総長だからなんだ!」…そうなんだぜ」





ちょっとモヤシダさん奏多にセリフ取られたからってそんな落ち込まないでよ。


大人げないなぁ。

そんでもって奏多は今日もウルトラ可愛いね。



え、てゆーか、


「奏多のお兄さんが!?6代目!?むしろ奏多にお兄さんいたとか初めて知った!てゆーかそもそも。美影って何代目なの?」



かくん、首を傾げて尋ねると、モヤシダさんがいち早く口を開く。



「奏多は4に「俺、四人兄弟の末っ子なんだ!上の兄ちゃんとはだいぶ離れてんだけど、大好きでさ。おれも白龍にきたってわけ。美影さんは、9代目!」……フッ」



にこにこにこにこ、花が綻ぶように笑う奏多には全く悪気はないんだろうけど、むしろ超可愛い。



でも、なんだろう。

……モヤシダさんがちょっと気の毒。



なんかもう顔に影ついちゃってるし。

風化しそうだし。