私の前にいる茜のお父さんは、作ったような笑みを顔に貼り付けていて。
後ろにいる茜は鋭くお父さんを睨んでいた。
間にいる私は、どうしようなんてオドオドした挙句、そーっと横にずれた。
見つめ合う2人に、ピリッと空気が張り詰めた感じがした。
無言の間が続いて、何秒か経った後に、先にやっと茜のお父さんが口を開いた。
「まだ、そんな髪の毛をしてるのかお前は」
貼り付けたような笑顔で茜を見るのをやめて、冷たく目を細めた茜のお父さんに、より一層空気が張り詰めた。
「…べつに、アンタにどうこう言われる筋合いねーよ」
「それになんだ、まだあんな集団と一緒にいるのか?バイク乗り回して世の中に反発するのがカッコいいと思ってるバカ達だぞ?」
「……るせぇ」
「喧嘩して、人を傷つけて、何が楽しい。そんな汚れた世界で生きるのはやめなさい。刺激を求めてスリルを求めて、汚れた世界にいるのかも知れないけど、ちゃんと考えろ。茜、お前は賢いだろう?真っ当な人生を歩んだ方が幸せだってなぜわからない。お前の幸せの為だ。───いい加減あんなバカどもと連むのはやめなさい」
最後の言葉で、茜の睨みがギッと強くなった。
でも、私も我慢の限界で。
最後の言葉で怒り狂いそうになった。
────もう黙って聞いてらんない。
そう思って一歩前に足を出して口を開こうとすると、それよりも先に茜の口からは喧嘩の時よりもドスのきいた、低い、怒るような声で、
「あいつらを、バカにすんじゃねえよ」
そう言った。



