高い位置にある茜の顔を見上げると、険しい顔をして私が入ってきたドアのあたりを見ている。
後ろでカラカラ…という音が聞こえて、私は茜の見ている方をバッと振り向いた。
…誰か、いる?
でも、暗いのにプラスして少し離れた位置にいるせいか、誰だかわからなかった。
テラスの床に足を乗せた、コツッという音が床を伝って聞こえてくる。
だんだん大きくなるその音につれて、そこにいた人の姿もハッキリと見えるようになってきた。
────男の人?
スーツを着た、固そうな感じの男の人。
キリッとして、整っているその顔はどこかで見たことがあった。
この人と、会ったことあったっけ?
うーん、なんて頭をひねって考えているとその人が足を止めて私の後ろをジッと見つめた。
……茜に、用?
そこまで考えてハッとすると同時に後ろから、
「…親父」
茜のドスのきいた声が耳に響いた。
この人が、茜のお父さん…。
会ったことがあるなんて思ってしまったのは、この人と茜と目元がそっくりだからだ。
でも、それ以外は全部違う。
真っ当な世の中を生きている人と、裏の世界を生きている人、正反対の雰囲気。
服装も、髪の色も、何もかも。



