私の呟いた声に気がついたのか、茜が顔を少し動かして私を見る。
ノースリーブのパーカーのポケットに手を突っ込んで、フードを被っている茜の金髪が光を反射してキラキラと光った。
昨日のことがあったせいか、茜は気まずげに間を空けて「……おう」と言ってから目線を星空に戻した。
ズキリ、心が痛くなったのはきっと茜の目がどこか悲しそうだから。
私は夜空を仰ぐ茜にそっと近づいて、茜の正面の椅子に座った。
私もそれからぼーっと空を見上げたけど、少しの沈黙の後、口を開いた。
「…ココ、茜の家の別荘だったんだね」
そう言って、ちらりと茜に目線を向けてみるけど茜は特には動かなかった。そのまま、空を見つめてる。
そしてまた沈黙。
スズムシの鳴く声だけがリーンリーンと耳に響く。
何秒間かの沈黙のあと私は、そっと茜の“中”に踏み込んだ。
「茜の家ってお金持ちだよね?…何をしてる家なの?」
平常心を保って、笑顔で問う。
茜の指がピクリと動いた。
ゆっくりと、のらりくらりと顔と目線を私に向けて。
「──お前には、関係ねぇだろ?」
無理やり作った笑顔で『踏み込むな』、バッサリと拒絶された。



