真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【下】


私はどうすることも出来ずに、無表情で殴り続ける茜を見つめた。




ぼーっと、ぼーっと見つめて。



ぼーっとしてる頭にふと浮かんだのは



──────“誰”



だった。




それによって、私はパッと我に返る。


…何を考えてるんだ、私。


茜だよ。誰って、茜でしょ。


茜以外にいないじゃん。




………知ってる、わかってるけど。





私の知ってる茜じゃない、気がして。




目の前で気絶してる男を殴り続ける茜が怖くなる。



早く、早く、早く元の茜に戻さなきゃ。



変な焦りがうまれて、私の頭には警報が鳴り響いた。




───茜が、壊れちゃう。



何を根拠にそんなことを思ったのかはわからない。




でもなぜかそんな風に感じて、私はベンチから素早く立ち上がって茜の腕を抑えた。




「茜っ!!もう気絶してるよ!!」



「……」


必死になって叫ぶけど、茜は聞こえない見たいにまだその男を殴り続ける。




やだ、やだよ、茜。



壊れないで、いなくならないで、変わらないで。





────茜、何があったの?



「茜っ、茜ぇ!!!もう平気だから、やめてっ」



「……」