──お母さんに会いに行ってから、一週間が経った。



手にはクシャリ、しわの入った紙。


この一週間、何回開いて閉じてを繰り返したか分からない。



『──日向に会いたがってた。
待ってるから、いつでも来てってさ』


そう言って、お母さんに渡されたその紙に記された“その場所”。



そう、私は今、そこに記された場所────だいちゃんの家の前に来ていた。



お昼前の人通りの少ない住宅街の路地で、深呼吸を繰り返す。



こんなにいきなり、来てしまったけれど。

お母さんはいつでも来てって言ってたって、言っていたけど。

本当に良かったのかな、なんて考える。




綺麗な色でまとまった、だいちゃんの家を視界に入れて。


本当にここで合ってるかな、なんて何回も確認して。


インターホンを押そうとしては、手を引っ込める。