たまに見せる、私の胸を締め付けるような優しい顔で。



私の情けない顔を少し呆れたように見て、私の頭の後ろに大きな手の平を回して。



優しく、自分の胸に引き寄せた。



茜の胸にとん、と当たった私の額。


そこから伝わる茜の心臓の音に安心して、私は情けなく声を漏らす。




「茜、わたしっ、話せた…っ」


「…ん」


「ちゃんと、はなせたよ」


「…ん」



気付いたら頬を伝っていた涙が、私の震える手に落ちた。


震えを止めるみたいに、無意識に茜の背中に手を回して服をぎゅっと握る。



びくり、一瞬肩を揺らした茜だけど、いつもみたいに慌てるのはなんとか堪えてくれたみたいで。



そんな茜が、嬉しくて、おかしくて、でも“好きだ”と再確認させられる。